学校選び編
Tombo君は大学院留学なので,学校選びといっても大学院のことしか分かりません.ご了承ください.
まずアメリカの大学院に日本から進学する人には大きく分けて3パターンある.
1)日本の4年制大学卒業後すぐの人.
2)日本で修士課程を卒業して博士を取りにアメリカに行く人.
3)日本で就職をしていたが,さらにアメリカの大学院で学ぶという人や企業派遣.
Tombo君は1)ですので1)を中心に大学院選びについて,自分の体験談をふまえてお話します.
アメリカでは学部(Bachelor)と修士(Master)で専門を変える人は少なくないし,制度上も難しくはない.これは大きなチャンスであると同時に,第1関門でもある.何を隠そう,それは
「私は何を勉強しに大学院にいくのだろうか?」
という自問自答である.これを考えないとアメリカの大学院の膨大なプログラムの中から自分に合ったものを見つけることはまず不可能である.無難なのは日本の学部時代と同じ専攻にすること.それでは,
「なぜ私はそのまま今の日本の大学の大学院に進まないのか?」
という次なる問題が自然と沸き起こる.学部時代と専門を変えるという人も一緒だ.最近は日本でも学部を変えるのが以前ほど難しくはなくなっていると聞く.また日本の場合,発展途上国から留学するのと違い,アメリカに行かなくても専門によっては立派な研究を国内で出来る.ようは,
「アメリカでなければいけないのか?」
ということだ.これら問題を繰り返し繰り返し「自分なり」に納得いくまでつめるのが留学前の最大の山場といっても良い.ポイントは自分が納得すること.はっきり言って留学は人生の転機である.自分の人生は自分が一番納得するように進むべきだ.しかし,反対論者の意見も良くきいてそれに反対できるくらい良く考えた上で留学するべきだ.そのくらい力強い決意が留学には必要である.最も恐ろしいのが,お金も余裕があるし,そこそこの学力もあるので大学院は留学しよう!と言って,本当に留学してしまう日本人がいることだ.その人が本当に上の問いに答えられるのならば問題はない.しかし,目的無しでわざわざ留学するというのは,両親も心配するであろうし,留学先でも周りの真剣にやっている人の足を引っ張るだけだ. はなはだ迷惑である.やめていただきたい.以上Tombo君の最近の愚痴でした.
で,先の問いに答えられたら,実際の学校・学科(Major)を調べていく.ここで注意したいのが,学科を選びその中でやりたいことを探すのではなく,やりたい事を決めてそれをやっている学科を探すということである.先の問いにきちんと答えられていれば間違うことはないが,これをしないと,有名校に進んだがやりたいことが見つからないというお金と時間の無駄遣いをすることになる.日本と違いアメリカは有名校だからといってすべての学科が有名であるとは限らない.また,日本の学部時代と同じ専攻をしようとしようと思っている人は要注意である.というのも,アメリカの学科は必ずしも日本の分け方とは一致しないからである.さらには学校ごとにも違う.まあ,これは日本国内でもあることだと思う.
さてどうやって学校・学科を探すかであるが,まず学科を絞る方が探しやすい.自分のやりたいことがどこの学科に属するか分からない場合は有名な総合大学のHP(例えばUCLAなど)にとりあえず行って見て,ピックアップするとよい.その際にピックアップは1つに絞らず,複数にまたがってもまったくかまわないし,そのほうが多様性があって良い.例えばTombo君のやりたいと思った音響学(Acoustics)は航空宇宙工学科(Aerospace Eng.),機械工(Mechanical Eng.)学科,物理学科(Physics)などにある.まあ,大体自分のやりたいことがどの方面で活きているかを考えれば学科は分かるでしょう.
次にその学科のランキングを見る.アメリカはランキングが非常に盛んで,各大学の学科を生徒数,卒業確立,教授の質,論文数,予算,キャンパスの広さ,コンピューターの数,図書館の蔵書数など各方面から採点し順位をつけている業者が複数ある.一番有名なのがUSANEWSでアメリカの大学院に行く人のほとんどがこれを参照しているといっても過言ではない.雑誌として本屋で売っているが,HP上でも無料で一部を見ることが出来るし,少々お金を払えば(クレジットカード払い)完全版を見ることが出来るし,実際の雑誌よりもWEB上の機能が使えたりとお得.是非有料版を買いましょう.注意したいのは,大学の学部版と大学院版はランキングが違うということ.まあ両者を比較するのも面白いかも.
これで自分の選んだ学科のランキングを確認し,上位の学校からリンクしていって本当にその学校が自分のやりたい研究をやっているかをチェックしていく.アメリカの修士課程は研究をせずに授業をとるだけで卒業という場合もあるが,修士だけで博士には進まないと考えている人も各学校の研究内容をチェックするのは非常に重要である.というのも,授業でそれらのトピックを扱う可能性が大だからである.こうして自分のやりたいことをやっている学校を10校くらいに絞り,さらにそのテーマをやっている教授のHPをよくチェックする.もしかするとそのテーマはもう過去のもので今はやっていないかもしれない.さらにその学校のカリキュラムや卒業までの必要単位数,授業の種類,研究施設もチェックする.またその学校に通うとしたとき,寮がきちんと整備されているか,都会なのか田舎なのか,生活費はどのくらいなのかを徹底的に調べる.これらの住環境は学校のHPだけでは分からないことも多いので,Googleなどの検索エンジンを使ってその都市を調べたり,その学校に通う学生のHPを見つけてその人にメールで聞いてみたりするとよい.こうして出願する学校を5校くらいに絞る.
あと学費についてだが,公立(州立)の方が私立に比べて安いのは事実.しかし州立の場合,州の内部の人には学費が安く,さらに奨学金を出すが州外の人には学費を高く設けている.一方でアメリカは私立の方が一般的にレベルが高い上,奨学金は全員が公平に審査される.それを考えると州立も私立もお金の面ではそこまで大きく変わらない.やはり,やりたいことをやっている学校に行くべきである.